2022年3月に千葉県で初導入です。

光干渉断層計は、眼の奥にある網膜の構造を画像化する眼科機器ですが、このCanon S1という新しい機器は、従来の機器に比べ 広範囲かつ深部に至るまでの眼底三次元画像を取得することが可能です。 具体的には従来機ではスキャン幅約 12mm、深さ約 2.0mm 程度であったものが、スキャン幅 約 23mm、深さ約 5.3mm の超広角撮影が可能になり、硝子体から網膜・脈絡膜・強膜まで の広範囲を一度の撮影で高精細に画像化することができます。

また、掲載されているAIが画像を鮮明に処理することで網膜の血流を評価する OCT アンギオグラフィー(OCTA)画像も従来機に比べて約80°の超広角に撮影することができ、造影剤を使用しなくても、広範囲の網膜血流を評価することができるよう になっています。この広角の OCTA を用いることにより、糖尿病網膜症や静脈閉塞症の病態評価を低侵襲かつ 短時間で(30-40秒程度)で行うことができます。

従来の検査法では造影剤が必須でしたが、造影剤の検査は侵襲があるため頻繁には行う事は困難でしたが、このOCTA では造影剤を用いないため、無侵襲で繰り返し検査を行うことができ、より早期に病状を把握できます。

 

例えば、糖尿病網膜症では眼底写真で一見落ち着いているようにみえる症例でも、実は虚血が進んでいて症状がないまま進行し、突然硝子体出血をおこし視力が低下してしまう症例も臨床では経験します。そのような症例の場合も広角 OCTA を撮影すれば、無血管野や新生血管を早期に低侵襲で発見でき、適切なタイミングで治療を行うことで視力低下を回避できることも期待できます。

この検査機器の登場で、より早期から適切な治療を行うことが可能となってくると思われます。

セントラル眼科クリニック